2019年5月29日水曜日

テープ起こし少年たなか


田中がいま学校で喜んでやっている作業というのは、いわゆるテープ起こしというやつ。いまどきテープ起こしなんか機械にやらしときゃいい、反面、ミーティングの議事録をやってくれよと、そういうことはまわってくるので勉強しているのです。

田中は入学してはじめてテープ起こしで主席を取りまして、かつてテープ起こしを仕事にしていた人より早くできるので、以前にやっていたことがあるでしょうと先生に聞かれました。それくらいうまいです。

テープ起こしなんかやったことないのに、なんでこんなにうまいんだろうと自分で考えていたら、なんのことはない、田中は小学生のころまさしくずばりテープ起こしをやっていたのでした。そんなこと記憶の底に沈んでいました。きょうはその思い出を書きたいと思います。

田中は小学生のころ、日本語のワードプロセッサーを買ってもらいました。それを使って何をやっていたのかというと、東京都の全ての博物館をまわり、博物館の展示パネルを一言一句メモしてきて、それをワープロに入力し、印刷してファイリングするのが趣味だったのです。これっていまになって考えてみれば、いかにも発達障害児的なエピソード。なんでいままでそれを医者にも先生にも語ることがなかったのか不思議です。

その延長線上に、テープ起こしがありました。もう博物館は行き尽くしてしまうと、たとえばNHKテレビジョンの『小さな旅』なんかを、ビデオテープに録画したり、またウォークマンをテレビジョンに近づけて録音したりして、その音をワープロで起こしていたのです。

そうした趣味は小学校の高学年から中学生いっぱいまで続きました。なんであんなことをしていたのか、それをきょうまでなぜ忘れていたのか。やっぱり本当に田中は発達障害なのだと、いままで半信半疑だったのが本当にそうなのだと、ようやくわかりました。

だから、鉄道好きの発達障害者が鉄道会社を目指すように、文字好きの田中も文字の会社に就職しようと、ようやく方向が見えてきた、そんな本日です。

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