発達障害の理解を、あるいは人間の「内面」の理解を、DNAに求めてはどうか、というのが近日の田中の主張だが、田中はDNAをよく知らない。そこで勉強の手始めに読んだのは、
「遺伝はDNAが親から子へと受け継がれることで起こる」。すなわち「遺伝子の正体はDNA」である。染色体という言葉も、その「正体はDNAと、DNAと結合した「ヒストン」と呼ばれるたんぱく質を中心とした複合体」だ。生殖細胞の減数分裂では染色体46本が23本となる。このどの23本が選ばれ、それがどの23本と合体して46本に戻るか。組み合わせはものすごい数になるわけである。できあがったそれは「細胞が分裂するたびに「複製」し、自分自身のコピーを作り出す」。DNAは「タンパク質の設計図」であり、「タンパク質は私たちの細胞を生かしている分子だ」。
DNAがないと、細胞は長く生きていくことができない。タンパク質が新しくできてこないからである。その証拠に、核を失った赤血球は、手持ちの材料を使い切ったらあとは死ぬだけだ。
「ゲノムとは、その生物の遺伝情報一式のこと」である。ヒトゲノムはすでに解読されている。染色体46本ぶんのDNAを並べると「総延長2m」となる情報量である。A・T・G・Cという「塩基配列」その順序が読み解かれている。「30億塩基」ある。わたしとあなたは先祖からの遺伝子の組み合わせでこんなにちがうヒトなのに、「DNAの個人差はおよそ0.1%」である。だからヒトゲノムという概念が存在できる。ヒトゲノムとチンパンジーの差も「1%以上」という数値である。「DNA鑑定」は同じ塩基配列の繰り返しが生じる「サテライト領域」の個人差を観察するものである。
DNAと言えば「二重らせん」だが、あれは塩基がこのように配列してという「モデル」なのであって「実際にあのような美しさに出会うことはできない」という。ではその時、なにを見ることが、たとえば発達障害の理解につながるのか(なにが「見える」のか)。それが「SNP(スニップ:一塩基多型)」であるだろう。わたしとあなたはちがい、しかしヒトはほとんど同じである、というDNAの幅の中で、ある集団にのみ共通する塩基配列というのが見つかっている。たとえば「日本人の心筋梗塞のリスクを高めるSNP」はもう発見されている。それと同じように、発達障害者に共通するSNPもあるだろう。これが弊ブログが主張したことの、理化学的言い換えということになろう。
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