2019年9月2日月曜日

感情を整理する老人


和田秀樹『「感情の整理」が上手い人下手な人』
感情の整理が上手い人と下手な人。話がはじまってすぐ、これが上機嫌な人と不機嫌な人にパラフレーズされる。そして、不機嫌な人の、不機嫌になるその過程が、そのまんま自分じゃないか、と思った、ので、そのあとがどんどん進んだ。「感情の豊かな人は、不機嫌になりにくいものです」。感情を出すタイミングを逸して、人は不機嫌になっていくのだ。「ものごとを白か黒かの二分割で判断する」というのも、自分のよくないところだと感じている。その対処法はずばり、勉強すること、そして成長願望を持つことだ。この過程には、わからないという場面が生じるが、これを「二分割」で考えると、黒になってしまう、しかしそこで、少しでもわかった自分を褒めるということが大事なのである。不機嫌な人のダメな部分も当てはまってしまったが、その対処法も現に自分がやろうとしていることだったから、これでよいのだという感じがしたのだった。が、読み終えて読書メーターに登録しようとしたら、数年前に一度読んだことがあった。それならそれで、読んだことを実行できているのだ、と思った。今度はこの本を保管用の書棚に立てた。


尾崎一雄『閑な老人』
ずっと積んであった本の山からも一冊読んだ。6つの短編からなる。いわゆる私小説なので、6篇がほとんど発表順にならんでいると、そこに時間が流れる。神社の松の木が切られ、飼っていた犬が死に、志賀直哉も亡くなる。犬の墓をつくろうと、庭を掘る。「休み休み掘つた。赤土に達すると、縄文式土器の破片が出てきた。この前のときは、土器のほかに、石斧も出たが」。そういう時間の重なりの中に、生きているということだ。山櫻を植えたいと思う。「その松や櫻がどうなるか、私には勿論判る筈もない。しかし、しかし、私は植えたいのだ」。(手放します。下記アマゾンより田中はにわに注文してください)


障害を構造的に職場に開示する


今週から仕事がはじまる。田中は発達障害者として、健常者の職場にまじる。職場は発達障害に理解のある職場であり、これまでにも障害者雇用の実績がある企業だ。そこに入社するにあたって、障害特性を一覧のリストにして、配属先の全メンバーにプリントで配布することになっており、近日はそのリストを作成していた。

職場に障害を開示する、そのタイミングと範囲はケースによってさまざまだろう。そのさまざまにより、開示の影響がよくもわるくも作用する。今回の田中の場合は、職場のほうに経験が有るため、田中はそれに従うことにした。田中は障害者として働くのがはじめてだからだ。一方的に、この方法を押し付けられたわけでもない。田中としても、障害者であることはなるべく広く開示して、ありうるトラブルを事前に避けることが、障害者雇用のメリットと考えているからだ。

しかし、このリストを作るのには、けっこう苦労した。インターネット上に発達障害者の「自分のトリセツ」的な、障害を開示するペーパーの見本はたくさんあるが、こどもようというか、障害が田中よりずっと重い人用というか、しっくりくるものはなかなかみつからなかった。また、どこまで開示するべきなのか、も問題となる。仕事に関係している部分はどこまでなのか、ということだ。

その線引きには、先日まで通っていた就労移行支援の施設と、また採用されるにいたるまでなんども行われた面接と、そこで扱われたり、質問されたりしたこと、が役に立った。たとえば田中は、常になにかに対して強烈な怒りの感情を持っており、だとか、死にたいと思うこともあり、だとか、そういう事実は心理検査からも客観的に明らかなのだが、職場に対してそんなことを言っても意味がない。対処は自分でおこなうものであり、会社に配慮を求めることが思いつかないからだ。

そう、リストは、就活の面接と同じく、①障害特性⇒対策⇒配慮の3段階でまとめるのが適当だろう。ただし障害特性は、必ずしも悪い面だけをまとめる必要もなく、障害であるがゆえに得意とする分野も並べたらいいと思う。それでもどこまでの範囲を書いたらよいかということになり、田中は②作業上、対人面、思考行動という3側面を考えた。①の横軸と②の縦軸で、3×3の表ができ、これを田中は会社に提出することにした。

これで準備は整い、あとは入社日を待つばかり、いや入社前日には例によってハローワークに行く必要があるのだが、他の書類の準備もありますが、なんとかここまでこぎつけたわけである。いまはもう、はやく仕事がしたいという気持ちしかない。

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