2019年5月1日水曜日

やっぱり地元民は正しかった―人生最大連休遍路(2)平成三十一年四月二十七日




平成三十一年四月二十七日。朝7時にJR宇和島駅直結のJRホテルを出発して、41番札所「龍光寺」と42番札所「佛木寺」を巡り、43番近くの宇和運動公園キャンプ場にテント泊。運動公園着が16時30分ということだから、9時間半で距離は20kmというところだろうか。いやそれでは計算が合わないなんでそんな時間がかかったのかと思い返した時、この日の最大の失敗が思い返された。地図どおりに歩けば20kmくらいのところ、田中は遠回りな道を選択してしまい、実際に歩いた距離は35kmに近かっただろう。


実際に四国遍路をしている方なら常識も常識ですが、この写真にあるような「矢印シール」が、電信柱やガードレールなどいたるところにはってあり、お遍路さんが道に迷うことはないようになっている。そして現代のお遍路さんのほぼ全員は、この写真の真ん中の黄色い矢印シールをつくって貼っている「へんろみち保存協力会」が編纂している公式の地図「四国遍路ひとり歩き同行二人」という黄色い本を、たいてい持っているのである。田中だって持っている。まわりはじめた10年以上前に買ったんだ。いまからお遍路をはじめる方は、まずはこの本をインターネットで注文して、気分を高めるところからはじめなくてはいけない。


しかし時代はかわった。前回の遍路歩きと今回の間に、田中にもたらされた新技術(ニューテクノロジー)、それが「googleマップ」である。いまや田中は地図を読むことがなくなり、わからない土地では必ずgoogleマップで検索をかけるのである。この日、42番「佛木寺」を出たところで、田中はいつものくせでgoogleマップに「宇和運動公園」と入れてみたのである。するとgoogleマップは公式のへんろみちとは全く違う方角を指し示したのである。「宇和運動公園」は43番札所の近所であるはずだから、へんろみちを外れる必要があるはずないのである。




しかしgoogleマップが示した距離と必要歩行時間が、通常のへんろ行程より数倍効率的な数値を示していたのである。そんな早く到着すると天下のgoogleさんがおっしゃるのだったら、そっちの道をいったらよいではないか。となる。が、愛媛県のみなさまは遍路に優しいので、いかにも遍路である田中がへんろみちを外れていると、地元民がどんどん声をかけてくる。

「43番に行くのならこっちじゃないよ」「デカイ看板があったでしょう」「こっちでも行けるけど尋常でない遠回りだよ」というみなさんに対して、「だけどgoogleがそう言っているので」「私は43番じゃなくて宇和運動公園に行くのです」と言い続け、言い続けるうちにgoogle先生がいつの間にか何度も何度も距離計算をやり直して、田中が気づいたときにはやはり地元民の仰るとおりで、とんだ遠回りになっていたちうわけである。


宇和運動公園キャンプ場については、宿泊に2000円程度かかるという旧情報と、宿泊料金はかからないという情報が、ネットに混在しているので2019年4月時点の最新情報を書いておけば、料金は無料が正しい。宇和運動公園にはテント泊を許可している域があり、そこでテントをはるのが自由で煮炊きも可能であるが、ただそれだけ。田中がテントを張ろうとした場所では、田中が到着したとき少年たちが野球の練習をしており、野球の訓練が終わるまで田中はテントを張ることができなかった。

無料といってもただ張ればよいのではなく、公園の管理事務所に出向き書類を申請して許可を得る必要があるため、事前に電話連絡をした上で遅くとも17時までには書類を提出するために公園に到着している必要がある、ということが注意点だ。しかし、この宇和運動公園は43番札所へ行く手前の、へんろみちからほとんど外れていない場所にあり、便利である。公園の近くにある巨大なスーパーマーケットまた100円ショップで食料の調達も可能だ。だから、テント泊をするお遍路さんにはたいへん有益な場所であろう。


そうしてテントを張った田中だったが、このテントの写真がもう永久に撮影されないなどとは、この時点で知る由も無かった。ふつうのお遍路さんが歩かない道を歩いたという見方をすれば、それは幸せなことであったのかもしれない。峠道から海を眺め、あるいはトンネルがひたすら連続する国道の冒険、普通のお遍路さんでは見ることができないものばかりだったろう。だからよかったのだ。といえば言えるのだが、初日から30km以上を、重たい荷物を担いで歩き続けたツケが、翌日に回ってくることを田中はまだ知らなかった。ということである。以下次号。



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