2019年5月7日火曜日

クルマがいらなくなったので


ゴールデンウイークの四国遍路で歩きまわったら、すっかり身体がかるくなって、ちょっとコンビニに郵便局に銀行にと、全くクルマを出す必要を感じなくなった。そこでクルマを売却することに決定した。旅行なんて行ってこんなことを言うのもなんだが、働いていないのだから生活は苦しいし、自動車を持っている限りついてまわる「維持費」を先回りで節約することに決めたのだ。

「クルマの維持費」という言葉は、ガソリン代や整備費用みたいなことを思わせる言葉だが、ここには誰かの陰謀が働いているはずで、維持費の最たるものは言うまでもなく車検費用ついで保険料そして駐車場代となる。はっきりともう売ると決めたきょう、任意保険の会社には電話で連絡をして、きょう付で自動車保険を解約した。つまり、まあ乗ってもよいのではあるが、田中はきょうからもう自動車には乗らない。事故をしたらたいへんだからだ。買取の話も正式にきょうの昼休みから電話で動かしはじめた。クルマがなくなる日付がわかったころには、駐車場も解約したい。

トーキョーに越してくるとき、新居探しの決め手と考えていたことは、安い駐車場がついていることであった。そうして決めた家に持ってきたクルマなのだが、トーキョーでこんなにクルマが不要とは、非トーキョーにずっと住んでいた田中には想像もできないことだった。田中はそもそもトーキョーの出身であったが、田中の父がクルマを持っていたのは、田中家という家族があったからなのだ。いま田中は一人で暮らしており、若者のようにクルマが必要になる将来を夢見ることもなくなったので、クルマはもういらない。

クルマはいらないとは、トーキョーに来てすぐに気づいていたことだったが、一度売ってしまったらまた買うのはとても面倒と知っているので、踏ん切りがつかないところがあった。そこでクルマにビデオカメラを積んで、車載動画をつくることを趣味にすることを考え、カメラを買って動画を一本YouTubeにあげてみたのだったが、これがまあつまらなかった。出来上がった動画がつまらないことはおろか、動画を撮影することにも動画を編集することにも、ひとつも面白みがなかった。ツイッターでは特によく話すように、田中はYouTubeばかり見て暮らしている。だから視聴者として動画制作者は尊敬しているが、自分にはむかないということなのだろう。

そしてクルマを売るとはっきり決めた、もっとも直接的なきっかけは、アパートの大家である。アパートの大家と田中はただの一度も会っていないが、不動産屋を通じてこれまで4回、つまりは入居後毎月一回、田中のクルマの止め方に文句を言ってくるのだった。田中が借りている区画の真っ中央に、タイヤをまっすぐにしてきちっと止めないと文句を言ってくるんである。どおりで他の区画がそれぞれに工夫して、三角コーンやブロックを使って駐車位置をきっちりきっちりしていることが、それが入居当初不思議だったのだが、ようやくわかった。めんどくせえ。そんな文句ばっか言ってると、駐車場からクルマが減って、てめえの不労所得が減るのである、と痛い目を見させようと田中は決めた。いまから解約の連絡を楽しみにしている。なんと言ってやろう。「真ん中に止めなくてもいい駐車場を見つけたので解約したいんですけれども」がいま一番の候補のセリフである。


クルマを売るために、一括見積サイトなるところに依頼をかけたところ、依頼をかけた瞬間から電話がしばらくなりやまなかった。むかし引っ越し見積サイトに入力をしたときとまったく同じである。これはめんどくさい。何十もの業者に見積もりを取っている間に、売るのがめんどくなること請け合いである。そこでYouTubeをみていたら、ローラのコマーシャルが出てきて、これだわとなった。業者が見積もりをとったうえで、それをオークションに出してくれ、いちばん高い値の業者にうっぱらってくれるというサービスである。これが吉と出るか凶と出るか、まあわからないが面倒でないからいいんでしょう。続報もする予定である。※弊ブログはこの業者からマネーをもらっていません。


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