近所の「角上魚類」に遊びにいく。角上魚類はチェーン店の魚屋だが、全国どこにでもあるわけではなく、都心にはなく田舎にもなく、ちょうど我が家のある東京都日野市のような、お手頃な郊外にだけ出店しているようだ。
引っ越してきたばかりのころ、クルマで近所を偵察していたら、見慣れない大きな「角」という看板を見て、調べたのだったが、家のすぐ近くなのになかなか出向く機会がなく、きょうがはじめてとなった。
暖かかったので、ほんの一瞬だけ自転車で行こうと思ったが、自転車で行くとなるとまたあの急坂をのぼるのかと思ったらだるくて、素直にクルマで行った。南平駅は谷の底なのだ。この地理の話は、またきちんと調べてから書く。
まず驚いたのは、だってきょうは水曜日でしょう、というくらいに駐車場が満杯であること。みなさん無職のお仲間なんですか、と言ったらきっと無職なんでしょう。無職でなかったら水曜日の昼間に魚屋でブラブラなんかしていない。
角上魚類は高齢者のたのしみとなっている、ということだ。少子高齢化が高度に進んだ21世紀の日本において、その恩恵を魚屋が受けるというのは、なるほどというべきか。店員さんがみんな親切。あなたは介護士ですかというくらいにやさしいように見えた。
が、そう言われたらこれが「魚屋」なのかもしれないぞ、とも。おじさんはおじさんなので、子供のころ魚はたいていスーパーで買っていたが、時々は団地のピロティにやってくる行商の魚屋さんを利用していた。角上魚類はそれをすっと思い出させた。
角上魚類のサービスが徹底しているのは見ていてわかった。魚をさばいてくれるサービスがある、ということ自体ではなく、魚をさばくお願いをする客とさばきのカウンターにいる店員とのやりとりが、きちんとサービスだった。
スーパーマーケットのような建物で、スーパーマーケットのような構成なのである。しかし全てが魚類だ。通常、野菜が置いてある入口の部分は、海苔やおつまみ系の加工品などがあり、肉コーナー乳製品コーナー調味料コーナー日用雑貨コーナーなどはもう全部魚、そして寿司コーナーがあり、総菜コーナーもあった。
私は総菜コーナーでカキフライを買った。総菜コーナーと言っても自分でトングでつかむのでなく(つかんでもよいようになってはいたが)、店員さんに「カキフライ5個ください」と言ったら、揚げたてのデカいやつを見繕って、袋に詰めてくれるのである。こういうやり取りを大切にしている店にみえた。
レジの人もスーパー風のレジスキャンの訓練をきちんとつんでいる一方で、袋を何枚使うか、割り箸を持っていくか、などちょこちょこ言ってくるのだ。これだけサービスがきちんとしていれば、それは人気になるはずだ。クレジットカードも使える。もう魚はここに買いに来ようということになる。週末はいつも大混雑になっているのが見えるので、こういう平日に買いに来よう。
カキフライはせっかくあげたてをもらったのだが、けっきょく明日のおかずにまわることになってしまった。お魚だお魚だいうてたくさん買い物をしてしまったからだ。
きょうの昼は10貫で900円のお寿司を食べた。全種類ちがうので、どれから食べようか。ネットでマグロのお刺身がとてつもなくうまいと書いてあったので、まずはマグロから食べたのだが、正直に書いておくとマグロはマグロだった。というのは、本マグロ大トロ中トロなどのお刺身も売っていたのだがお高いので、きょうはやめておき、このお寿司に使われているマグロはバチマグロとかいうやつだったのだ。だからケチったぶん、マグロはマグロという味がして、なんだこんなもんか、と正直思った。
しかしそれ以降がすごかった。特に甘エビの食感と甘味、またイカの歯ごたえ、アジの身のハリ。最後にネギトロの軍艦巻きを食べて、これはやはりマグロだと思って、しかしなんだこの軍艦巻きに使われている海苔の香りの高さは、とグルメマンガみたいなことを思った。
マグロはだいぶん食べており、日本国内での流通もよくできているから、おそらくマグロはよほどすごくないとマグロなのだ。そもそものマグロの食感ということもあるかもしれないし、マグロは遠い外国から船の上で冷凍にしてやってくるから、ということもあるのかもしれないと思った。が、他の魚はそれぞれに鮮度を感じて、角上魚類はほんとうにすごいと思った。
ほんとうは角上魚類でお魚の写真をとって、みんなで観察しようかと思ったのですが、店内撮影禁止となっていたので、中止になりました。お昼にお寿司を食べた時からもうたのしみでしかたなかったアジの刺身を夜食べたが、我が家の冷蔵庫でもさほど鮮度の落ちを感じず、相変わらずぷりぷりでおいしかった。
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