先日、六本木の森美術館に葛飾北斎の浮世絵を見にいったのは現在受講中の放送大学に関連した内容だったことが大きいが、それ以上に純粋な感動というものがたしかにあり、田中はまた近日に芸術鑑賞に出かけようと決めていた。土曜日、就労移行訓練が半日あり内容的には充実していたものの教室の微妙な雰囲気の平日との違いが田中のこころを沈ませ、こういうときこそ美術館に出かけたら元気になるのではないかと田中は考えた。
東寺から仏像がたくさんやってくるのかと、その宣伝のビジュアルを見て田中は早合点していたが、「東寺―空海と仏教曼荼羅」という展覧会のため、曼荼羅が主体の展示になっていたことに田中はがっかりしたのが正直なところだ。立体像は最後の広い展示室にたくさんあることはあるが、クライマックスをそこまで引っ張りすぎていてその前の展示に波が無いように感じた。
うち一像だけは写真撮影が許可されていて、みんな集まっていたので田中も帝釈天をうまく撮ろうとそこに長くいた。その写真をならべてみているがどうだろうか。写真を撮ろうとなるとどう撮ったらうまくなるか考えてモチーフをよく見ることになり、観察の勉強にもなる。また写真には撮れなかったが、御神輿を担ぐ人たちがかぶる面だったかあれはカラフルな立体でたのしい。きのう土曜日は仏像を見るつもりで出かけたから余計に立体がよく見えたのかもしれなかった。
しかしよく調べて行かなかったものの入館料が1600円するというのは高い。東寺展をみたついでに、国立西洋美術館の「ル・コルビュジエ展」もみたら楽しいという計画もあったのだが「東寺」が1600円なら「ル・コルビュジエ」も1600円するのだった。高い。高すぎる。こういう施設の料金は精神障害者の健康を助けるため障害者手帳の提示で割引が効くことが多い。田中は障害者手帳を現在申請中だが、一刻もはやく手帳を発行してほしいと言っているのは、無職の田中が次の就職活動に使うからだが、一方では手帳のメリットを生かしてこうした施設で遊び倒そうという計画があるからだ。
少し前の田中ならば、一度決めたことには歯止めが利かず、3200円も使ってしまってから後悔することが多かったが、昨日は素直に3200円は使いすぎだろと思うことができた。一方で、「ル・コルビュジエ」は我慢ができても、同じ美術館のなかの「林忠正」は我慢ができなかった。これを見逃したら一生見ることが無いかもしれないと思ったからだ。そもそも北斎を見にいったのは、北斎の浮世絵がヨーロッパに紹介されて「ジャポニスム」という日本ブームを起こした、という内容の授業を放送大学で受講しているからで、林忠正とはその「ジャポニスム」におけるキーパーソンの一人、いま田中がまさにレポートに書いているところの人なのだった。
運命であった。運命には1600円を払う価値があると思った。が、この日は「ル・コルビュジエ」を見るのには1600円かかるが、通常展だけを見るならば無料開放の日であるとわかった。田中はツイていた。林忠正は通常展の一室で展示されているという。教科書にも出てきたゴンクールの『北斎』(解説書)を実際に見ることができて感動した。放送大学の「日本美術史の近代とその外部」を受講しているみなさんはいま上野に行ったらいいと思う。このへんの詳しい話はまた勉強が進んでから、このブログでも報告する。
しかしきのう一番田中の目を喜ばせたのは、西洋近代美術館の常設展に時代順にならんだ西洋絵画たちだった。いわゆる油絵の歴史はまさしく近代という時代とともにあるもので、その近代という時代は思った以上に短い。キュビスムくらいにくるともうその視界は田中も生きている現代で、明らかに美術の教科書に載っていただろう画家の生没年を見ると田中が生まれてから亡くなっていたりしておどろく。上記の授業を勉強しているということもあるが、昨夜おもしろかったのはやはり印象派とその前後くらいだ。この常設展も写真NGの看板が出ている絵以外はフラッシュをたかなければ写真に撮ることができる。
そうして美術芸術鑑賞をした田中は、気分が晴れたかといえば・・・帰りに聖蹟桜ヶ丘でビールを飲んで帰り目覚めた今朝も気分は沈みなんだか頭がぼんやりして風邪をひいたのではないかと思っていたら眠くなって昼寝をして、そしてようやく元気になってきた。そしてブログを書いたのだが、それにしてもあの学校には行きたくない。はやく仕事を見つけて卒業しようと思った。ともかく障害者手帳をはやく出してほしい。
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