就労移行支援(しゅうろういこうしえん)とは、障害者総合支援法を根拠とする障害者への職業訓練制度であり、一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じ、適性に合った職場への就労等が見込まれる65歳未満の者を対象とする。きょうはいきなりウィキペディアのお世話さまとなり、田中の就労以降支援のはじまりを話す。 田中はこの就労移行支援を東京で受けるために東京都日野市南平に転居してきた。順番待ちの列に3ヶ月並び4月1日より実際の訓練がはじまった。田中は訓練生と呼ばれ平日は毎日訓練に通いはじめた。その最初の1週間が終わった土曜日がきょうである。
一週間のオリエンテーション期間でだいたい全てのメニューを一通り体験し、来週から本格的に訓練が動き出す。一日は午前中が模擬会社社員としての職業訓練、午後がレクチャーやディスカッションと自主設定課題。一般的な就活と障害特性の自認と、ワードエクセルパワポと、正確なタイピングの訓練と、会社員体験と、面談と、応募書類添削と、模擬面接と、まあよくやるのである。そんなこと一人では一週間にとても詰まらないが、すごいシステマチックに組んであるから無理なく詰まっている。そうくるか、となる。詳細は外に漏らすなと厳しく言われているが、それもうなづけるほどよくできている。
この就労移行支援は言ってみれば職業訓練の専門学校に通っているふうで、学校もご商売だから学費が必要となってくる。お月謝がだいたい10万円である。週に一度の習い事ではなく毎日のことであるし、これだけメニューがしっかりしているとまあ月々10万円くらいそりゃかかるわなとなる。しかし無職のおじさんに10万円は払えません、という仕組みが就労移行支援という公的な仕組みだといえる。
前年度の収入に応じて負担の割合がかわり、残りは行政が税金で負担してくれるのである。無職の状態からこの制度を使うとなれば全額免除となる。田中の場合、前年度の収入があったため「ふつうにもらっていればたいていは1割負担ですから、月々1万円程度とお考えください」というような説明を事前に受けていた。ことは以前書きましたね。その正式な決定通知も今週東京都日野市から届き、なんと田中は全額免除であるというふうに書いてあったものだから先生も田中もよろこんだ。田中の前職の給料が世間的に見て低かったことがこんなところで幸いした。
施設は池袋駅から少し歩いたところにある。池袋駅は東口に西武百貨店があり西口に東武百貨店があることでおなじみだ。この池袋と東京都日野市南平の間の通勤定期が1万3000円くらい月々かかるが、会社とはちがい交通費はさすがに自腹である。以前は就労移行支援の施設が利用者サービスとして交通費を支給することが多く、現在でもそうした宣伝を出している施設もあるようだが、そういうことは駄目だという話に行政のほうでなってきているらしい。たとえば施設でやった訓練としてやった仕事に対する工賃なんかを交通費と言い換えるなどしているのかもしれないし、まあこのへんは利用者として聞いた話なので専門的なことはわからない。
ともかく定期券を買ったので田中は金曜日の放課後、区間内の全駅を自由に乗り降りしても料金が嵩まない定期券のメリットを体験しようと途中下車をしながら帰ってきた。新宿でルノアールに入って本を読む。笹塚の喫茶店もチェーン店だが「ペリエスプレッソ」なる飲料をはじめてのみおいしかった。480円Suicaで。炭酸水「ペリエ」を「エスプレッソ」に注ぐのである。笹塚は都会だ。
ぎょうさん会社員が乗降しなんで関西弁になったんやかわからしまへんが、笹塚駅前のカルディでは通常イオンモールのカルディの入口ではコーヒーの小さいカップをサービスしてはるとこで、なんとスパークリングワインをサービスしてはり、田中はんはコーヒーよろしく一杯ひっかけて店内をうろついただけやったが、このスパークリングをテイスティングして「おいしいわ、じゃあこれ一本」いうハイソサエティーな笹塚民のなんとおおいこと。笹塚は都会だ。
笹塚で降りてみたのは駅のすぐ近くに銭湯「栄湯」があるからだった。田中はもともと広いお風呂が好きだが東京都日野市にはその手の施設が一軒も無いため近ごろ田中は銭湯をずっと探していた。そして「栄湯」は田中が探していた銭湯の理想の形であった。田中のいう理想とは(1)銭湯価格(東京都460円)である(2)支払いがクレカもしくはSuicaである(3)シャンプーボディーソープ備え付けである、の3か条であった。
東京によい風呂やサウナは多く、じっさい池袋にも多いが軒並み料金が高い。では銭湯にいくとなるとそのために現金を用意するのは面倒(しかし「栄湯」も返却式ロッカーのため100円硬貨は必要だが)。そして仕事にシャンプーを持ち歩くのは面倒でタオルが限界。とおもっていたところに「栄湯」。
よいお風呂だった。ユニットバスの家にはじめて住んでおりまったく温まれないので、近ごろは家で風呂に入るのをやめて全部スポーツジムのシャワーにし、そのうちガスとめてまうかくらいに考えているところ。実際にはジムにいけない日は家でシャワーをやるのでそこまでできないが。「栄湯」に行くために笹塚で降りるということは今後も出てくるだろうと思った。リピート必至というやつである。
しかし日野南平店のエニタイムフィットネスと笹塚のエニタイムフィットネスではお月謝が1000円ちがう。笹塚のほうが高いのだ。エニタイムフィットネスはそういう仕組みなのである。では笹塚に住むとなるとどうなのだろうと、帰りの電車の中で笹塚の賃貸物件の相場を見ておどろいた。おどろいたというか東京の家賃としては相場だろう金額である。今週の学校で「生活費を見直そう」の講義で聞いた金額と同じだ。
南平の駅前にも不動産屋が何軒かありそこでチラシを見ると、笹塚よりやや安いが同じといってもいいだろう。田中は無職でも家を貸すという使命を帯びた闇の不動産屋に飛び込んだおかげで、相場の半値以下いや3分の1に近い金額で暮らせている。田中にとっては南平の不動産屋のチラシでさえおどろくような高額物件なのだ。
そうして生活にかかるお金のことを考えながら、次の仕事のことをぼんやりと考えて家まで帰った。次の仕事のためならまたそこに便利な場所に引っ越そうとどこかで漠然とおもっていたが、おそらくそれは現実的でないとはっきりわかった。田中はしばらく東京都日野市南平の素晴らしく安いアパートに暮らそう。ここから通える仕事をさがそう。それは京王線の沿線+山手線の丸の中くらいのイメージだ。そうして定期券で途中下車をして東京を感じて暮らしていきたい。そんな明るい未来を少しだけ見た。
混むのがいやだから田中はめちゃくちゃ朝早くの各駅停車で池袋に出てしまってからカフェで本を読んで暮らしているが、実際にはいまのスケジュール(10時開始)のためにもっともおそく家をでるタイミングは8時半過ぎでよいことを田中は知っている。それくらい東京都南平は都心に近くこんな場所にあっては破格の家賃で暮らしているのだ。これを手放すほうはない。
就労移行支援は東京都日野市のすばやい対応で実現した。精神科は日野私立病院にかかっている。障害者手帳はやはり東京都日野市に申請しさすがにこれはまだ届かないものの、すでになかば障害者と認められ障害者手当(月1万円)の支給がはじまった。こんな制度は前居住地にはなかった。自立支援医療の受給者証もおととい東京都日野市から届いた。学費だけでなく医療費も東京都日野市は面倒みてくれる。
田中は腎臓も悪く指定難病IgA腎症の患者だがこれも日野私立病院のお世話になりはじめた。難病医療費の受給者証もくれる。そして難病手当(月1万円)の支給もはじまっている。こんな制度も前居住地にはなかった。東京都日野市はとにかく手厚い。生活とはお金であり、お金とは東京都日野市南平であると感じた夜。恵まれたいまの暮らしを手放さないと決めた。
0 件のコメント:
コメントを投稿